電子書籍で生まれた「1篇」が、奇妙で美しい「本」に生まれ変わりました。
多岐にわたる活動で知られる作家・西崎憲の「本にまつわる」6篇の物語を、桃山鈴子さんの装画作品、大島依提亜さんによる造本で一冊としました。
短篇集『本の幽霊』
著者:西崎憲
装丁:大島依提亜
装画作品:桃山鈴子
仕様:B6変形 上製 124頁
定価:1,500円+税
ISBN:978-4-86732-014-3
【収録作】
本の幽霊
あかるい冬の窓
ふゆのほん
砂嘴の上の図書館
縦むすびのほどきかた
三田さん (全6篇)
【あとがきより】
「(本書収録の)「ふゆのほん」はまず電子書籍で刊行された。それが今回紙の本に転移したわけであるが、物語が電子と紙を往還することにはすこし心躍るところがある。(ほかの5篇は)紙への移行の過程で自然に生まれてきた。本が登場するものが多いので本にかんする本ということになるかもしれない。」
「作者や編集者とちがって本は孤独ではない。本を手にする読者も孤独であるが、ひとり本だけはつねに孤独ではない。本はいつも流れのなかにある。本とはどこかからどこかへ向かうものであり、向かう場所があるということは孤独ではないのだ。」
【プロフィール】
西崎憲(にしざき・けん)
作家、翻訳家、編集者、ミュージシャンとジャンルを横断して活躍する。文芸誌「たべるのがおそい」では編集長をつとめ、掲載作の今村夏子「あひる」が芥川賞にノミネートされるなど話題となる。著書に『世界の果ての庭』(創元SF文庫、第14回日本ファンタジーノベル大賞受賞)、『未知の鳥類がやってくるまで』(筑摩書房)、『ヘディングはおもに頭で』(KADOKAWA)など。訳書に『郵便局と蛇 A・E・コッパード短篇集』(ちくま文庫)、『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』(亜紀書房)、ほか多数。フラワーしげる名義で歌集『世界学校』(短歌研究社)などを刊行。